「熊本県上益城郡山都町」草野 昭治さん_4

作 り 手 訪 問
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「円形分水を見学。」

 最後に草野さんの案内で、珍しい「円形分水」というものを見学した。通潤橋を通して運ばれてきた水を、ふたつの地区へ均等(7:3)に分ける装置である。稲作と切っても切れない水。その、大切な水を人びとに不満なく分けるというのが、通潤橋のふもとの地にふさわしいと感心した。

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円形分水から3割が野尻地区へ、7割が白糸台地へ流れていく。

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円形分水一帯は公園になっている。

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「地震被害で、有名な放水の再開は31年度になる。」

 豪快なことで有名な放水は石管の中にたまったゴミを流し出すのが、本来の目的だとか。あの放水が復活するのはまだまだ先。修理には約2年かかるという。通潤橋の修理だけでなく、農地や家屋などの修理にも、まだまだ時間と労力が必要だ。しかし、163年の歴史を止めるわけにはいかない。チカラをあわせて、前に進むしかない。

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地震で受けた被害の修理がいまなお続いている。

「これからも、復興会の活動を
広めていきたい。」

 重要景観に指定されて以来、草野さんが会長を務める振興会では「食のセミナー」、「特別栽培の勉強会」、「生きもの鑑賞会」などさまざまな取り組みを行ってきた。「おいしいお米の作り方」など、講師を呼んで勉強会も開いている。また、下田さんたち女性部の活動も活発だ。「NPO法人ヤマンマの会」を立ち上げ、子どもたちの自給自足体験、自治振興会と協力してしめ縄作り、棚田ウォーキング、女性部が作った田舎料理をふるまう「収穫感謝祭」などを行っている。

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  コミュニティがしっかりしていないと、棚田も景観も保てない。それが、草野さんと下田さんに共通の考え方だ。最近では、若い方が移住してきて有機農法に取り組む動きもある。それは、明るい兆しだ。これからもみんなで通潤橋のめぐみを受け継ぎ、棚田を愛し、守っていくためにますます幅広い活動を期待したいと思う。

訪問日:2017年6月7日