「京都府京丹後市」桒原 稔さん_2

作 り 手 訪 問
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「こりゃ、あかんわ。」

 10年ほど放置されていた棚田を自ら耕し、ほぼ人力で米をつくっている桒原さん。労力を省くために試しに機械でやってみたこともあるそうだが、「こりゃ、あかんわ。」「人間の都合では、あかん。」「それに、オモロないわ。」ここが、桒原さんの桒原さんたる所以である。

 そして、桒原さんはいい米作りのために、山の手入れからやっている。「山が荒れたら、あかん。」いろんな野草や山草が生えてくるからいい水になる。いい水があるから、いい米ができる。そういうことらしい。「まあ、こういうところでつくっているので、間違いようがないわ。」「間違っても、農薬は使わんけどな。(笑)」と、桒原さんは楽しそうに話してくれた。

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水源から2枚目の棚田に流れてくる水。

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田植えに備えて苗箱で苗を育苗している。

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これから3回目のしろかきを待つ、田植え前の圃場。

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畔に咲く野アザミの花が美しい。

「完全自然農法米」とは?

 桒原さんが取り組んでいるのは、「完全自然農法」と名付けられたやり方だ。桒原さんと菊太屋、そして菊太屋の技術顧問である農学博士の西村先生、さらには伊勢丹新宿本店。つまり、環境、作り手、技術、売り手の出会いと全員のこだわりがそろってはじめて実現したものだ。
 桒原さんの圃場より上には住宅はない、だから生活排水が流れ込むことはない。棚田群のいちばん上に位置し、これより上に圃場はないから、他の圃場から農薬や肥料が混じり込むこともない。この「ないないづくし」の環境で、農薬や肥料を全く使わない、除草剤も使わない、田植えや稲刈りにも機械は使わない、「ないないづくし」の完全な自然農法で米をつくっているのだ。もちろん、刈り取った稲は「稲架かけ」で天日干しにするそうだ。これこそ、究極の「完全自然農法米」なのだ。

 「自然相手なので、なかなか思い通りにはいかない。西村先生からいろいろ教えてもらったけど、やってみて、体験してみて、失敗もして、なんとかじぶんのやり方が見つかった。自然を相手にする以上、条件がそろわないとダメなんや。逆にね、条件が整えばできる。人間の都合だけでは、言うことを聞いてくれん。一生懸命、条件を整えるやり方が、この農法のオモロイところかな。」

※「完全自然農法米」は伊勢丹新宿本店のみの取り扱いです。

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「こういう田んぼを見ると、ますます生産者をしぼりたくなるなあ。」と、社長の東井は快活に笑う。

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桒原さんの圃場よりも上には他のひとの圃場はない。そして住宅もない。だから、汚れのないキレイな水が確保できる。

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野生の動物の被害から守るために柵をめぐらしている。「猿、猪、クマ。なんでもいますよ。」と、桒原さん。

 そんな桒原さんは、この棚田の一枚を地元の宇川(うかわ)小学校の生徒さんたちに提供して、「米作り」と「体験学習」をしてもらっている。種まきからじぶんたちでやり、田植えと草取りは素足で土の中にはいる。そして案山子づくり、稲刈り、稲架かけまで行う。脱穀はなんと昔ながらの「千歯こき」でするそうだ。足裏で土の感触を知り、手で作業することは子どもたちの貴重な体験になっている。

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