2019 12 September

お米のことをもっと知って、もっとごはんを楽しんでいただきたい。 そんな気持ちでお米のPR誌をつくりました。

日本は、米国です。
だって、日本はお米が主食の、「米の国」でしょ!
主食とは食事の中心として、主要なエネルギー供給源となる食物。コムギ、ジャガイモ、トウモロコシなど…いろいろあるけど、日本の主食はお米。気候が稲の栽培に適していたこと。毎年安定した収穫が得られ、長い間保存できること。日本人の好みにあった食べ物であることなどが主食になった理由です。毎日食べるものだからこそ、おいしく安全なお米を食べたいですね。
「ごはんですよ」が、「食事ですよ」を意味する国。
「パンですよ」が「食事ですよ」。そんな国、あるのかな?
食事のとき、イタリアのひとは、「パスタですよー」と、言うのかなあ?ドイツのひとは「ジャガイモですよー」と言うのかなあ?まさかねえ。お米はまさに、日本の食事の代名詞。
おにぎり、おむすび、どちらが正解?
答えは、どちらも正解です。さて、言葉の由来は?
おにぎりは文字通り「にぎった飯」。武士の携帯食だったにぎり飯が、「お」のつく女性名詞化して「おにぎり」になりました。おむすびは宮中の女官が使っていた女房詞で、ご飯を固く結ぶことからついたと想像できます。万物のうみの神「産霊の神(むすびのかみ)」への供え物だったことに由来するという説もあります。関西より西はおにぎり、東ではおむすびと呼ぶことが多いようです。
さて、お米の出身国は?
日本の稲作の始まりは縄文時代。では、どこから伝わった?
稲作は約1万5千年前にインドのアッサム地方、中国南部雲南省からタイ・ミャンマーなどにかけてのアジア東南部地域で始まったとされています。日本に伝来したのは、約3000~2700年前。稲作が伝わった経路については諸説ありますが、中国の長江流域から北へと伝わり、やがて朝鮮半島を経て日本に伝来したという間接渡来説がもっとも有力です。
どうしてお米は、北国大好き??
稲は、もともと熱帯がルーツ。だけど、北国が米どころなのは、こんな理由がありました。
ひとつめは、昼は暑く、夜は涼しい夏の気候。稲は昼間にエネルギー源となるでんぷんをつくり、夜に消費します。夜が涼しいと消費量が少なく、でんぷんがよくたまり、美味しいお米になります。ふたつめは豪雪地帯が多く、雪解け水に恵まれていること。水田で育てる稲には、豊富な水資源が必要です。このような美味しいお米が育つ自然環境から、北国は米どころになりました。
“新米”君は、いつからベテランに?
いつから新米?いつまで新米?ご存知ですか?
JAS法に基づくと「新米」と表示できるのは、収穫年の年末までに精米・包装されたお米だけに限られています。 年初か、たまに春頃まで、新米と表示されたお米を店頭で見かけたりしますが…。年が変わると、新米とは呼びません。 新米は水分が多く、香りがよいのが特徴です。でも、水分を吸収しやすく、やわらかくなりやすいので、水を少なめにして炊きましょう。
知っていますか?お茶碗一杯、お米何粒?
では、お米1合、何グラム?ひと粒の種もみから、何粒のお米がとれる?
大人用の小ぶりなお茶碗一杯に米粒は、約2300~2500粒。 お米の単位は「升」「合」「キログラム」などですが、1升の米粒は約1.5キログラム。 1合は約150グラムで、およそお茶碗に山盛り一杯分。 ひと粒の種もみからは、約2000粒(お茶碗約一杯分)ものお米がとれます。 さて、今朝は何粒、お米を食べたかな?
お米人口世界で何人?
お米をたべるのは日本人だけ?NO!世界中で食べられています。
お米は世界113カ国以上で栽培され、世界の稲作面積は約1億5000万ヘクタールと言われています。 世界では年間約6億トンものお米が作られ、その約90%がアジア諸国に集中しています。 世界で一番たくさんお米を作っているのは中国。インド、インドネシアが続き、日本は10番目です。お米を主食としているのは約20億人。人類の約40%にもあたります。 お米のとれる国ベスト10:FAO(国連食糧農業機関)2007年発表
茶碗一杯、栄養一杯!
ごはんの栄養は炭水化物だけ?いいえ、ほかにもありますよ!
お茶碗一杯のご飯にはビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養も含まれています。熱量は252kcal。101分間歩くエネルギーに相当します。 ご飯は毎日、しっかり食べましょう! 〈お茶碗一杯の栄養(150g当り)〉 たんぱく質3.8g(牛乳コップ1/2杯分) 脂質0.5g(6枚切り食パン1/6枚) 炭水化物55.7g(ジャガイモ3個分) 鉄分0.2mg(ほうれん草の葉1~2枚分) 亜鉛0.9mg(ブロッコリー1/2個分) ビタミンB1 0.03mg(キャベツの葉1~2枚分) 食物繊維0.5g(セロリ1/3本分) 資料:「ジュニアのための健康ダイエット!正しいダイエット入門」汐文社
水に流せない、水の話。
ご飯の半分以上は水分です。おいしいご飯の決め手は水。
炊飯器の水加減を基準にして、1kgのお米を炊き上げると、約2.2kgになります。つまり、ご飯の半分以上が水分です。だから、おいしいご飯を炊くために、水は大切な要素になります。まず、硬水ではなく軟水を。炊く前に夏なら30分、冬なら1時間は水に漬けておくと、ふっくら炊きあがります。
“八”“十”“八”と書いて“米”
そこには、お米をつくる大変さが込められています。
「米」の字は、「八」と「十」と「八」からできています。これは、お米づくりには、八十八回も手間をかけるからと、言われています。 春先の種もみの準備に始まって、初夏には水の確保・田植え、暑い夏の間の草取り・肥料入れ、そして秋の稲刈り・乾燥・もみすり、出荷。 作業の機械化が進んだ現代でも、農家の方の大変な苦労があって、美味しいお米ができることに変わりはありません。
思えば60年前は大変でした。
60年前まですべてが手作業だったお米づくり。機械の普及が、農作業を大きく進歩させました。
日本の産業革命は、1900年ころですが…。お米作りに機械が導入されたのは1950年代のこと。田おこしや荷物の運搬に耕うん機が普及し、肥料入れに散布機が使われるようになりました。いまでは種まき機や育苗機、トラクター、田植え機、稲刈りや脱穀を行うコンバイン、乾燥機や籾すり機などさまざまな農業機械が使われています。ほんと、60年、ひと昔ですね。
お米作りの1年は、11月がニューイヤー。
9月~10月に収穫が終わったら、11月にはすぐに準備が始まります。
お米作りの1年。 11月から2月ころまでは、田に足りない養分をいれて土作り。 3月には、種もみ選び。 4月は種まき、田んぼをたがやす田おこし、田に水をひき表面をならすしろかき。 5月は、田植え。 6~8月は雑草とり、苗の間のみぞ掘り(みぞ切り)、水を抜いて田をかわかす中干し。 暑い夏の間中、まめな水管理を続け…やっと、9月~10月に収穫です。 農家の皆さま、本当に日々ご苦労様です!
田んぼは、一石五鳥の大活躍。
田んぼは食卓だけでなく、自然も守っています。
田んぼは自然の一部として、稲作以外にも5つの役割を果たしています。 雨水を貯めて、洪水や土砂崩れを防ぐ。 地下水と川の水量のバランスをとり、地盤沈下を防ぐ。 土の層で水をろ過してきれいな地下水をつくる。 水蒸気を発散して気温の上昇を抑制する。そして、さまざまな生き物のすみかにもなっています。 自然を守ってくれる田んぼを、大切に守っていきたいですね。
読めないあなたは、米不足!
いくつ、読めるかな?「米へんの漢字」に、チャレンジ!
「米へんの漢字」は、ずいぶんあります。でも、日ごろ目にしていても、なかなか読めないもの。 読めないあなたは、お米不足かも?もっと、お米を食べましょう。
1.籾(稲の果実に当たる部分)
2.粽(米や米粉でつくったお餅)
3.糀(日本酒や味噌の製造に使う)
4.糠(米を精白したときに出る)
5.粳(普通に米飯で食べるお米)

答え:1=もみ 2=ちまき 3=こうじ 4=ぬか 5=うるち
モグモグモグモグモグモグモグモグするほど、甘くなる。
その理由は、お米に含まれるデンプンと唾液に関係あり。
お米に多く含まれるデンプンは、ブドウ糖(砂糖や果糖の仲間)がたくさん集まってできたものです。ご飯をよく噛むと甘くなるのは、唾液のもつアミラーゼという消化酵素によって、デンプンが分解され、麦芽糖(ブドウ糖が二つつながったもの)になるからです。ブドウ糖は脳の活動を維持するうえで大切な栄養素です。さあ、今日もご飯をモグモグモグモグしましょう!
食べないと太る。食べると太らない。
ご注意ください!朝ご飯抜きはダイエットにかえって逆効果。
朝ご飯抜きの生活を続けていると、カラダがエネルギーを節約しようとして、脂肪を分解する能力が低くなっていきます。つまり、太りやすい体質になります。また、朝ごはんを食べない反動で、昼や夜にたくさん食べ過ぎてしまいます。ご飯と一緒にいろんなおかずをとれば、栄養バランスもおのずとよくなります。脳への栄養補給のためにも、朝ご飯は大切です。
お米のとぎ汁、捨てるの待った!
いろいろ使えるお米のとぎ汁。ただ捨てるにはもったいない!
筍のあく抜きに米ぬかの代わりに使えます。大根などの根菜類を下茹ですると、白く仕上がります。身欠ニシンや棒ダラなどの干物をもどすと、エグミがとれてやわらかくなります。フローリングを磨くと、ピカピカになります。(乾拭きで仕上げるのがコツです。)食べ終わった食器をひたしておくと、油汚れが落ちやすくなります。栄養豊富なので、家庭菜園にまいてもよし。
米たちみんな、亀の尾一家。
人気のブランド米。じつは、たいがいは親戚関係にあります
全国で栽培されているお米の種類は250種類以上と言われています。 この中で人気のブランド米のほとんどが、「亀の尾」と「旭」という品種から生まれています。 「コシヒカリ」「ササニシキ」はそのひ孫品種。 「ヒトメボレ」「あきたこまち」「ヒノヒカリ」は「コシヒカリ」の子供になります。 現在では「コシヒカリ」とその子孫の品種が、全国の8割以上の田んぼで栽培されています。
お米とライス、育て方が違う?
国が変われば、お米の育て方も変わる。 苗代や田植えは、「日中韓流」です。
日本や韓国・中国では、専用の箱に種もみをまき、12~13センチ位まで育てて苗をつくり、その苗を田んぼに一定の間隔で植えます。田んぼの面積が広いアメリカやオーストラリアでは苗を作らず、ヘリコプターや飛行機を使って、空からいっぺんに種もみをまいて育てます。また、東南アジアの山岳地帯など水質源の少ない地域では、畑で稲を栽培しています。
開発者より、愛を込めて。
お米の名前は開発者の想いを背負ってる。あのお米の名前には、こんな想いが!
「コシヒカリ」越の国(越前・越中・越後)にひかり輝くことを願って。
「あきたこまち」秋田生まれの歌人小野小町にちなんで、末永く愛されるように。
「ひとめぼれ」食べた瞬間、ひとめぼれするほど美味しいお米という意味。
「ゆめぴりか」「夢」と、アイヌ語で美しいを意味する「ピリカ」をあわせた造語。
「ミルキークイーン」玄米が半透明で、お米の表面が乳白色に見えることから。
「ヒノヒカリ」西日本(九州)をあらわす「日=太陽」と、ひかり輝く様子から。
「ササニシキ」交配した「ささしぐれ」と「はつにしき」、それぞれの名前をとって。
未来のクルマはライスカー!?
石油に変わる資源として期待されるバイオ燃料。お米からつくる研究も行われています。
ポスト石油として、開発が進むバイオ燃料。米国やブラジルではトウモロコシやサトウキビから製造されています。日本では2008年、農林水産省が主導で稲わらからバイオ燃料をつくるプロジェクトがスタート。2014年には、大手建設会社が稲わらから効率的に製造できる技術を開発しました。近い将来、食べるだけでなく、燃料をつくるためにお米が育てられる日が来るかもしれません。
縄文人は、ヘルシー志向!
日本人はもともと白米を食べていたのではありません。古来は、雑穀を食べていました。
雑穀は主食(米や麦)以外の穀物のこと。日本人の農耕の歴史をたどると、稲作が始まったとされる縄文時代は米が主流ではなくアワやヒエなども作られていました。白米を食べるのが主流になったのは江戸時代中期ごろですが、農民は白米と雑穀を混ぜて炊いたものを食べていました。昭和30年代以降は、家庭で日常的に雑穀を食べることはめっきり少なくなりました。
では、最後にひと言。「お米は、からだにえいよー」。
お米は栄養があるから、えいよー。お米は健康管理にも、えいよー。
お米はどんな主菜や副菜とも相性がよく、合わせやすい特長を持っています。 カラダのエネルギー源となる糖質はお米で、タンパク質は主菜(おもに肉や魚)で、ビタミンやミネラルは副菜(野菜など)で。と、主菜と副菜を上手に組み合わせて、栄養バランスのよい食事にできるのが、主食としてのお米のエライところです。 健康的な生活に、お米はとっても、えいよー!